連雀抄

   淡し其の影、幽し其の囀り (朧なる月華に落つる連雀、淡く、幽く、)


**作品概要

『飛翔、漂流、温度』をメインテーマにしたコンセプト短篇集・伊達×真田編
新規書き下ろし作品にWEB上公開作品の加筆修正版を加えた、計17本を収録

※初版の特別装丁版には『十六夜連歌』が追加収録されています
※同時配布のパスで読めるオマケ小話はダテサナお風呂(?)話『雫結う音』です
※¥300、A5コピー本、24頁(特別装丁版は28頁)、御召御納戸赤香の色の紐で括らせて頂いてます


**収録内容目録

雨燕/草の粥/紫煙の帳の隔つこと、/花と土塊/不香の花/蝶の舞い落つ/遠雁/ゆめぢのかすみ/潮垂る途/
灯光の一縷/幻燈遊戯/拉げ砕く直青/紐の緒、いつがりて/
其の右の目で、密やかに/たとえ、一握たりとも/月魄公/
憂哭をぞ鳴く

※以下の文は秘密企画で募集した言葉をテーマに書かせて頂きました(提供者の皆様、ありがとうございました!)
雨燕…「決別」、紫煙の帳の隔つこと、…「境」、遠雁…「渡り鳥」、幻燈遊戯…「灯蛾」、
紐の緒、いつがりて…「慮る」、憂哭をぞ鳴く…「比翼の鳥」



**サンプル文

降頻る雨の只中に、俺がそう零すと、独眼竜はその眇を心底忌々しいといった風情で歪めた。同時に、蒼く燃える。
「アンタ、本当に強情だな」
自分が如何いう貌してるか、解って言ってんのか。
そのように唸るので、自らの貌に手をやると、今度はその手首を酷い力で取られた。ぎり、と固い指先が食い込み、雨に濡れて冷えた掌が滑る。
「何を、」
「そいつは俺の台詞だ。アンタこそ何を考えていやがる」
何を。
そのような事は先程だけでなく、これまでにも散々述べてきた筈だ。
武田が勝利、主君の上洛こそが全て。己に在るのはただそれだけであったから、奥州へ下る事は出来ぬ、と先にも答えてきた。譲れぬ矜持だ。それを、男は「捨てろ」と言う。
「御存知でありましょうに、」
言葉に、眇はいよいよ燃え盛った。猛禽の眼だ。手首へ爪が食い込む。
「結局、アンタは、」
男は呻き、手を離した。眼に燃えるものは失せている。そうして背を向け、草鞋はぬかるんだ音をたてつ、雨中に跡を残して往く。
俺は立ち竦んでいる。
幾度、その横へ並び立ちたいと覚えただろう。過ぎ行く日をともに在りたい、と。だが、俺は今立つ処へしがみ付いているより他の術を知らぬのだ。その背へ触れたいと思へども、追えもせで、その姿を眺めやる事しか出来ぬのだ。それでしか、生きられぬ。
男は一度として振り返らない。
雨はしとどに降りて、俺と彼との間を隔てては散った(触れる事の叶わぬこの身を嘲笑い、)

雨燕

Word collaboration ... 「決別」





































SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送