葬式みたいだっただろ、と、ハヤトは言った。

「俺一人だけ、葬式みたいな顔してただろ」

そう呻くと、顔の左半分を手で覆い、瞳を閉じる。昨日の昼頃には俺に向かって如才のない祝辞を述べ、その後にややぎこちなく笑みを浮かべてみせた唇は、今は僅かに噛み締められていた。
確かに葬式みたいには見えたけど、と返せば、眉根が寄せられる。
酷く痛そうだ(しかし、彼は如何して痛みや憂いやその他のマイナスに作用するものばかりが似合うのだろう)(きっとそのように造られているのだ、可哀想に、)

「でも、それはお前のせいじゃあない、ハヤト」

礼服が黒いのが悪いんだ、葬式も、結婚式も。誰も悪くない。お前は悪くない。
口にしながら抱き寄せると、そんなのは気休めだ、と呟いた。

「俺が悪いんだ。俺はアンタの結婚相手の顔を知ってる、名前もだ。でも、それだけだ、」

椅子を"椅子"、て呼ぶように、あの人の名前を覚えてるだけなんだ。俺が悪いんだ。
白んだ唇が震えながら笑う。零れ落ちる。床へ脱ぎ散らされた一式は共に負う罪の色だ。
返せる言葉は見つからなかった。

い礼服

2008.2.11   上 au.舞流紆
Short Sentences of "Scolorimento" Color No.21 Black * Special Thanks for the planning ... dear E





























SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送