「今日はハヤトに会いたいと思って来たから、」

この理由で日本に来られるの、年に何度もないからさ。ずっと嬉しくて。
くしゃ、とふいに笑み崩れたディーノに向かって「待ってる間になんか良い事でもあったのかよ」と尋ねたところ、そんな風な言葉が返ってきたので、少し拍子抜けをして、それから、少し呆れた。

どうしようもない莫迦とはこういう男の事をいうのだ(待ち合わせの時間に二時間も遅刻してきた事を咎めるでもなく、しかも、その理由が寝坊だと知っても「よく寝られたか?」なんて言って、それで、笑っているから何かと思えば、こんな、)

開いた口がなかなか塞がらない俺の目の前で、ディーノはまだ笑っている。木洩れ日が彼の表面を転げまわって、ブロンドはその度にちらちらと光った。
差し出された指へ触れる(寝坊をして待たせた借りがあるのだから、これくらいは譲歩してもいい)。
次の待ち合わせでは彼よりも早く来ようと思い、手を引かれる儘に温かな日差しの下へ出て行く。

の陰

2008.2.15   上 au.舞流紆
Short Sentences of "Scolorimento" Color No.13 Green * Special Thanks for the planning ... dear E





























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