アパートの狭苦しい玄関先に立ったまま、もどかしくキスをして、互いの温度だとか感触だとか匂いだとかに浸る間も無く、二人で冷えた床に崩れ落ちた(数歩歩けばベッドがあったが、其処に至るまでの時間すら惜しかった)。
半ば引き千切る体で上衣を剥ぎ取り、そうして、また焦れながら性急に触れる。
制服のズボン越しに撫でた彼は、確かに昂っていて、俺はそれが嬉しくて仕方が無い。
口内に舌を滑らせると、ハヤトは可笑しいほど必死になって吸い付いてきて、けれど、強請りはしない。持ち前の矜持がそうさせるのか、彼はまだそれをしない。舌先で舌先を舐めると、俺の頬を掠める睫毛が大仰に震えて、くぐもった声が上がった。
縺れ合う俺達の上に、冬の昼らしい薄い膜の様な光が、窓とカーテンを透かして差し込む。糾弾に似ている、と思い、事実、世間からはそのように思われるだろうと考える。
Tシャツの上から撫で回した胸に仄かに固くしこったものを見つけ、押し潰すようにして触れると、薄い背がびくり、と反った。惑う様な視線が、俺に触れる。じわりと水気を帯び始めた瞳の、その奥の方に、B級ポルノの中の娼婦にしか見つけられぬような色合いを認めた時、なんとも言えない愉悦を覚える。キスをする。フローリングに乱れた灰色の髪を掻きやる。俺達に似つかわしい行為を、俺は模索している(耐える様に引き結ばれた唇の奥、或いは忙しなく上下する胸の下の、彼の本能とも言うべき部分に触れて暴き立てる事が出来たら、どんなにか良い心地がするのだろう)。

「ディーノ、」

キスの合間、うわ言の様にハヤトが言う。
名前を呼ぶよりは彼の唇に触れていたくて、その声ごと飲み込む。
ふやけて痺れに似た感覚を帯びる唇に、俺達の抱えた熱は音も無く溶け込んで、そうして、俺はこの感情が最早手に負えない物だという事に気が付く(恐らく彼も、)

エテルナメンテ

2006.12.20   上 au.舞流紆



























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