よく考えるまでも無い事だ、と、男は諭す様に口にした。

よく考えるまでも無い事だ、ハヤト。
自分は手に銃を持ってる。敵は丸腰だ。そういう時、俺達にとってその敵は羽虫みたいなもんだ。逃げることしか術を知らない、取るに足らない存在になる。殺すのは簡単だ。でも、人間は時々どうしようもない考えを持ったりするから、羽虫を殺せないやつもたくさんいる。銃を持ってるのに、必ず勝てる戦いなのに、だ。理由は知らないぜ。神様の慈悲を信じてるのかもしれないし、ただ単に汚い汁が飛ぶのが嫌なのかもしれない。俺はそういう人間じゃあないから、そいつらが何を考えてるのかは解らない。
けど、ここまで言えば少なくとも俺の言いたい事は解ったろ。

「情けをかけるな」

俺の頬に飛び散った血を拭いながら、ディーノは言う。

「虫を逃がしたところで良い事なんか一つも無い」

御伽噺みたいに恩返しなんかしちゃあくれないし、次に会った時には俺達が虫になるかもしれないんだぜ。
そう締め括ると一息吐いて、人懐こい顔で「帰ってメシでも食おうぜ」と笑う。
その手に握られたままの銃、石畳を密やかに伝う体液。
俺が撃ち落とすのを躊躇った羽虫は、彼の綺麗な手で翅を根こそぎ奪われて息絶えていた。

エリトラム

2009.10.23   上 au.舞流紆
なんかものすごい奥底から発掘されました、(文章が何処か古い…)
ディーノは「守るべき物」と「守る必要の無い物」の区別を物凄く明快にしてて、彼にとって獄寺が「守りたい物」であると良いのだけど、














































SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送