死んだ後は故郷の土に還りたい、といったような内容の言葉をティエリアに漏らしたところ、返ってきたのは、冷笑が一つきりだった。

「機体と共に爆発、粉微塵になって宇宙を漂うのが関の山でしょう」
「おい、人の最期を天気予報みたいに言ってくれるなよ」
「事実です」

まさか、真っ当な最期を迎えられると本気で考えているのではないでしょうね。
絶妙な角度で弧を描く眉を顰め、不快感も露に投げつけられた問いに、思わず顔を顰めてしまう。
それは流石に無い、というか、俺はお前の中で一体如何いう扱いになってるんだ。まさしく愚問ですね、"底抜けに愚かな人間"に決まっている。あのな、底抜けに愚かな人間でも鈍くは無いつもりなんで、そういう事を言われると若干傷付くんだが。若干ですか、ならば良かった。

「擬似戦闘とはいえ、ヴェーダに記録されるデータです。支障が出ては困りますから。では、」

応酬の後、素っ気無い挨拶と同時にモニタが消え、回線が切れる。黒い画面は途端に冷えた。モチベーションはそこそこに保たれているが、多少、切ない(別に「死ぬなんて言わないで下さい」と涙ながらに言って欲しかったわけではなく、そんなものは端から期待していなかったが、もう少しソフトな言い回しをしてくれてもよかっただろうに、)。
トリガーを幾度か握って感触を確かめながら、その他データ上での必要事項を確認し、ついでに、刹那、アレルヤ、ティエリアに"成績がビリだった奴は、次に地上に降りた時に全員に珈琲を奢ること!"と通信文を打つ。過ぎた緊張を解したり、沈みがちな思考を持ち上げるために時折こういった類の文を送りつけるが、正直、今回は自分のためだ(なにしろ、もう少しで下り坂だった)。


所定の位置で待機をする。開始まで30秒をきった。
刹那は予想通り反応が無い。前回の奢り役だったアレルヤからは"今回は奢ってもらう側になれればいいけど、"と相変わらずの消極的な返事がきた。ティエリアもいつも通りだ、"くだらない"。けれども、その後ろに"追伸"とあり、簡潔な一文が続いていて、俺は笑わざるをえなかった(希望的観測が多分に含まれているかもしれないが、文面から察するに、粉微塵よりも多い質量、即ち指だの耳だのが残っていれば回収してアイルランドの土へ埋めてくれるらしかった)。

埋葬計画

2008.5.10   上 au.舞流紆 Theme from 模倣坂心中
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