「娘が、おったのだ」

無闇やたらと口を開かず、生い立ちも漏らしたがらぬ男が、自らに関する話を、
それも己が子についての話をするのは、全く稀有な事だった。
(病は人を脆弱にすると言うが、よもや彼までとは思わなかった)



「我には娘がおったのだ、元親」



床に臥した元就の乾いた唇は、乾いた声を響かせる。
鈴の音などには、似ても似つかなかった。




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