「兄さん、まさかその格好のまま出てく気か?」
「まずいのか?」

ストラトス伯が真っ黒のタキシードの裾を摘んで首を傾げますと、ライルさんは呆れたように溜め息を吐きました。
そうして、自分のお洋服が入っているワードローブの前に立ちます。

「まずいって、今から人間の市民街に行くんだぞ。しかも食事しに行くんじゃなくて、観光に行くんだ。俺たちにとっては普段着だし、ティエリアと森で暮らしてる分にはそれでいいかもしれないが、此処じゃあそうじゃない」

軽いお説教をしながら、ストラトス伯に何着かの服をとっかえひっかえ宛がっていたライルさんは、「これが一番マシ」と言って、キャベツ色のシャツと濃い色のズボンを投げて寄越してきました。
ストラトス伯は、ああそうか、と納得をして、おとなしく着替え始めます。
その間に、ライルさんは靴を取りに行きました。
なにしろ、ストラトス伯の靴はピカピカのエナメルだったものですから。


結局、上から下までお洋服を取り替えられてしまったストラトス伯とティエリアさんは、着慣れない感触にもぞもぞしています。
忙しなくドアの前を行ったりきたりする二人を見て、ライルさんが頭を掻き、隣にいるリジェネさんに言いました。

「どうして二人してああも世間知らずかね」
「森に引きこもっていれば当然だよ。村との連絡でさえ伝書鳩を飛ばしてるようだし、ティエリアの場合はそもそも世間に興味がない」
「弟としては全く情けない限りだな」
「珍しく意見が合うね。僕もそう思ってたところだ」

そんなおはなしをしている間にも、ティエリアさんが「カンテラは、」なんて事を言い出すので、リジェネさんはそれはそれは深い溜め息を吐き、ライルさんは「あのな、街には森と違って街燈があるから、」と教えてあげなくてはいけませんでした。

へんてこ4人組と
月夜のお散歩のおはなし

2008.9.21   上 au.舞流紆

人間社会の街に行った経験が激烈に無いストラトス伯とティエリアさん、
ストラトス伯は本編ニールよりも天然系なので、ライルさんの方がしっかりしているかもしれない、
ライルさんは常日頃タキシードを着てますが、近隣の人には仕事着だと思われています(執事的な意味で)
ライルさんもそう思われてるのを知ってるので、オフのお出かけ時はきちんと普通の服を着て出かけます






























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