まだティエリアさんを咬んでいないんだってことをライルさんに笑い飛ばされてしまったストラトス伯は、ライルさんにもおんなじことを尋ねました。
つまり、だったらお前はどうなんだ、そういうことです。

「俺か?もちろん咬んださ」

平然と言ってのけたライルさんに、ストラトス伯は明らかに不審そうな目を向けました。
何故って、ライルさんの思い人は、吸血鬼ハンターなのです。
リジェネ・レジェッタ、というのがその人のお名前で、ライルさんはリジェネさんに会う度に「お前のためなら灰になってもいい」だの「吸血鬼一族の誇りにかけて一生大事にする」だのと熱心に口説いていたのですが、いかんせんリジェネさんは根っからの吸血鬼ハンターでしたから、お返事は全部銀の銃弾でした。
そんな人が、一体どうしたらライルさんに咬むことを許してくれるというのでしょう。
冗談だろ、と顔を顰めたストラトス伯に、ライルさんはさも心外そうに言いました。

「冗談なもんか。あいつがフラットにいようが任地にいようが他の吸血鬼の頭を吹っ飛ばしてる最中だろうが毎晩訪ねて、口説きに口説いて、終いには腹に銀の銃をつき付けられたがそれにもめげずに愛を囁いてようやく落としたんだぞ、」

当然その日のうちに咬むだろ、と続けたライルさんが、起きてから早速銃弾をお見舞いされたがな、とも唸るものですから、ストラトス伯はテーブルに突っ伏します。
欲求に対して素直な生き物である吸血鬼にしては、とても慎ましやかなストラトス伯は、ライルさんのかなり情熱的な恋愛生活や、お付き合いしていると断言するのが憚られるようなリジェネさんの態度には、ついていけてないみたいです。

ストラトス伯とライルさんの秘密会議

2008.9.7   上 au.舞流紆
オクテなお兄さんとオマセな弟、






























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