「老師たちが随分と怒っておいでなのも無理無いな。この目で見るまでは、と思ってたが、俺も幻滅したよ。何時から人間なんかとおままごとするようになったんだ、兄さん」

そう言ったライルさんは口許に付いた血を舌で舐め取りながら、音も無く、じりじりと近づいてきます。
ティエリアさんを背中に庇ったストラトス伯は、動けません。
一対一ならまだしも、ティエリアさんを庇っての戦いです。
勿論ティエリアさんにも心得はありますが、力を十二分に蓄えた吸血鬼に準備も無く対抗できるわけもありません。
しかも、ストラトス伯は魔力を封じられている上に、空腹でたまりませんでしたから、その力の差は最早埋めようの無いものでした。
張り詰めた空気にティエリアさんが浅く息を吸い、ストラトス伯の顎から一滴が落ちたのとほぼ同時に、ライルさんは足を止め、言いました。

「議会がお前から爵位を剥奪する事を決定した。それから、お前は処刑される、」

一族の恥晒しとして、な。
ストラトス伯とそっくり同じ形をしたライルさんの目が、月明かりに燐光を帯びて瞬きました。

ストラトス伯とティエリアさんと
月夜の訪問者のおはなし

2008.8.31   上 au.舞流紆
黒ライル@真吸血鬼はストラトス伯とティエリアさんを敵にまわします、

※老師:たぶん吸血鬼たちのトップに立つ吸血鬼のこと、たぶん老師の集会が議会じゃあないかと思う、






























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