(ストラトス伯が魔力を失くしてから幾度か季節が巡った、ある日のことでした、)


かくかくしかじかこういうわけで大好きなんですずっと一緒にいて下さい、とテーブルにおでこをくっつけたストラトス伯に、ティエリアさんは言いました。

「かまいません」

簡潔です。
とっても呆気ない了承ですから、なんだか逆に心配です。
がばっと顔を上げて、「へ、」と間抜けな声をあげたストラトス伯に向かって、ティエリアさんはこう続けました。

「貴方が先程から5時間26分かけてした話の内容の大部分はよく解りませんが、現実的な問題として、俺には貴方が必要で、貴方は俺がいないと駄目なようだ。利害は一致します」

「違いますか」と真顔で尋ねたティエリアさんに、ストラトス伯もつられて、真顔で「いいや、ちっとも」と答えました。
答えて、瞬きを一つして、それから、くしゃ、と笑いました。
5時間26分の大部分は無駄になったようでしたが、そんな事は全く気になりませんし、そもそも、ストラトス伯は"世の中無駄な事なんてそうそう無いさ"という心情の持ち主でしたから、無駄とは思っていません。
自分は7杯目、ティエリアさんにとっては3杯目の紅茶のおかわりを淹れに、ものすごく上機嫌な様子で席を立ちます。
ティエリアさんはティエリアさんで、ストラトス伯の顔のデッサンが盛大に崩れているのを見て、よく解らないなりに、あったかいような、ちょっと苦しいような、そんな気分を味わってます(勿論、締まりがなさすぎる、という辛口感想付きで、です)。
ストラトス伯がなんだか一人で感極まって、紅茶をサーブするついでにティエリアさんの事をぎゅっとした時、お散歩から帰ってきたハロが「ナカヨシ!ナカヨシ!」と跳ねました。
ストラトス伯は笑いながら、もっとぎゅうぎゅうします。
ティエリアさんは、このままでは背骨を折られる、と思って、ストラトス伯の向こう脛を蹴飛ばそうとしています。


(ストラトス伯が魔力を失くしてから幾度か季節が巡った、ある日の昼下がりのことでした、)

ストラトス伯とティエリアさんの
とある昼下がりのおはなし


2008.5.14   上 au.舞流紆
ハロウィンパラレルその6、
ストラトス伯が6杯も紅茶をおかわりしているのは、緊張のあまりテーブルにぶちまけたり、
緊張のあまりやたらと喉が乾いて一気飲みしたりしていたからです、(彼は何処までメルヘンなオトメンになる気だろう…)
































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