リジェネさんがエイミーちゃんの原稿のお手伝いをするようになってからというもの、ライルさんにはちょっとした悩み事ができてしまいました。
リジェネさんが、エイミーちゃんの書いた同人誌を貰ってくるようになったのです。
それだけなら良かったのですが、ライルさんにとって運が悪かったのは、エイミーちゃんがものすごく過激な陵辱表現を売りにしている漫画家さんだということと、ライルさんがAV男優のくせに二次元でのそういった描写を苦手にしていること、それから、リジェネさんにはそういった描写に対する抵抗が全くないことでした。
つまり、リジェネさんは夜の生活の参考資料として、エイミーちゃんの同人誌を使うようになってしまっていたのです。


「ねえ、ライル、これなんかどうかな?」

リジェネさんはそう言いつつB5サイズの薄い本を広げて、ライルさんに見せてきます。
つい何日か前の即売会で、エイミーちゃんが出した新刊です。
内容は、ドSド鬼畜な変態医師がいかにも親切そうな顔をして、いたいけな男の子の家へ往診に訪れ、そのままその男の子をぱっくり頂いてしまう、とかいう流れの、やっぱり過激描写満載な本です。
その中ほどの頁、変態医師が男の子に綿棒でアレやソレをしているのを見せられたライルさんは、「うえっ!」と声を上げて、その本から3メートルくらい後退り、顔を背けました。

「そ、そんなもん見せるなよ!口で説明すればいいだろ!!」
「でも、百聞は一見に如かず、ていうくらいだし、見た方が断然早いよ。仕事の台本にだって、たまに図解で注文付いてるじゃないか。あれとどう違うんだい?」
「あれは理科の教科書に載ってるような簡単な線だけで書いてあるからいいんだよ!そんな、妙なとこの筋とか血管とかまで描写してないだろ!汁気もないし!変な効果音もないし!」

頼むから閉じてくれ!
ライルさんは一頻り喚くと、大きなビーズクッションの下へ頭を突っ込みます。
よっぽど本を見るのが嫌みたいです。
リジェネさんは、「そんなに嫌がらなくたっていいのに」と言いながら、本を閉じます。
そして、持ってきていた鞄の中から綿棒のケースを取り出しつつ、ライルさんのところへ寄っていって、ビーズクッションと床の隙間からライルさんを覗き込みました。

「じゃあ、実践しながら説明するよ。それならいい?」
「途中で説明が面倒になって、本開いたりしないだろうな?」
「そんなことしないよ」
「本当か?」
「本当」

僕、ライルに嘘吐いたりしないよ。
そう言ったリジェネさんがにっこり笑ったので、ライルさんはようやく起き上がります。
そうして、リジェネさんから綿棒(円筒形の透明ケース、所謂お徳用の綿棒です)を受け取ると、いそいそと開封し始めました。
どうやら、苦手なものが登場しないのを知って、ちょっとノッてきたようです。
リジェネさんはそんなライルさんを見ながら、なんだか可愛いな、なんて思っていましたが、「何笑ってるんだよ」とライルさんに言われたので、「なんでもないよ」と首を振りました。

「たくさんしてね」

そんな風に笑って、ライルさんにぎゅっと抱き付きます。
ライルさんも、リジェネさんのことを(綿棒込みで)しっかりと抱き返しました。


この数日後、リジェネさんが「そうそう、この間ライルと綿棒を使ったんだけれどね、」というおはなしをエイミーちゃんにして、彼女の創作意欲をこれでもかと煽り、変態医師と男の子のおはなしの第二弾が刊行されることになったのは、小さな裏話の一つです。

おたにる。番外編
〜僕とライルと同人誌〜


2009.4.15   上 au.舞流紆
このように何処までもマダオなライルさんですが、本気モード(お仕事中)はテライケメンです、…ホントだよ!嘘じゃないよ!






















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