ニールさんが初めてティエリアさんと顔を合わせ、ファミレスでわりと衝撃的なアレやコレがあった次の日のことです。
インターホンの音に、ニールさんが「あれ、俺、今何か同人誌とかエロゲとか通販してたっけ?」と思いつつドアを開けると、其処ではさわやかな笑顔が待ち受けていました。

「どうも、イノベ引越しセンターです」

そう言った薄紫の髪の男の子は、ニールさんが「え?え?」とクエスチョンマークを撒布しているのにも構わず、家に上がり込んできます。
その後ろにいた、やっぱり薄紫の髪をした女の子は、「失礼します、大きなお荷物から入れていきますね」と言うと、黄緑色の髪の女の子と一緒に大きなダンボールを持ってきて、先程の男の子が作ったスペースへ置いてゆきます。
そのまた後ろからは、橙色の髪をした男の人二人が、さらに大きなダンボールを抱えてやってきました。
見るに、どうやらそれは何かの機材のようです。

「お、おい、ちょっと、」

あんたら何なんだ、と続く筈だったニールさんの言葉は、「大丈夫、あたしらの仕事の速さは他社とはダンチよ」という声に遮られてしまいました。
何やら、ニールさんの知らないところで、何かが進んでいるようです。
そして、その何かというのは、言うまでも無くティエリアさんが原因なのでした。
ものの10分で荷物を入れ、必要な作業を全て終えた引越し業者のみなさんがトラックに乗り込んでゆくのを、道路へ出てきたニールさんが呆気に取られた表情で見ていると、脇から声がしました。

「ご苦労様です」

声の主は、ティエリアさんです。
ティエリアさんは、「またよろしくお願いしまーす」と言いながら走り去って行くトラックを、さも当然のように見送っています。
そんな彼を見たニールさんは、言いました。

「ティエリア、一体これはなんなんだ?なんで引越し業者が俺の家に荷物持ってくるんだよ」

すると、こんな答えが返ってきたのです。

「貴方と僕とは将来を誓い合ったのですから、一緒の家に住むのは当然でしょう」

とりあえず、当座必要と思われるパソコンと周辺機器、衣類、月刊PCマイスターズ5冊を持ち込ませてもらいました。今日からよろしくお願いします。
ティエリアさんは、ぺこり、と頭を下げると、さっさとニールさんのお家へあがり込んでいってしまいます。
その後ろ姿を、ぽかーんとした、所謂(゜Д゜)という表情で眺めていたニールさんは、慌ててお家の中へ戻りました。
なにしろ、ニールさんはまだティエリアさんに自分がとってもオタクなんだってことをお話ししていなくて、にも関わらず、二階にあるニールさんのお部屋の中は、ネットアイドルのポスターやらギャルゲの特典フィギュアやら開きっぱなしのビジュアルファンブック(しかもエロゲのビジュアルファンブックです)やらで、いっぱいだったものですから、それを隠さなくてはいけなかったのです。


この日の深夜二時を少しまわった頃、リジェネさんから「ニールさんはメイド服が大好き」という情報を事前に仕入れていたティエリアさんは、メイド服を着た上でニールさんの部屋へ乱入し、「さあ、僕を貴方だけのメイドにしてください!」と近隣中に響き渡るほどの大声でのたまって、次の日からニールさんの持病欄に「胃痛」が加わることになったのですが、それはまた別の機会におはなしすることにしましょう。

おたにる。番外編
〜お墓も勿論一緒です〜


2009.3.28   上 au.舞流紆
「月刊PCマイスターズ」は例のニールさんのお写真が載っているマイナー雑誌です、






















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