ニールさんのもとへ最終兵器がやってきてから、数ヶ月が経ちました。
ライルさんという彼氏がいるにも関わらず、かなり積極的に接してくるリジェネさんの様子に、最初はとってもどぎまぎしていたニールさんも、今ではもうすっかり慣れっこになっています。
それどころか、三次元に興味を持ったとはいえ、ニールさんの脳は基本的にはオタクのままでしたから、「弟の恋人と色々楽しむシチュエーションはちょっと萌える」とかいうような、わりとろくでもない事を考えていたりもしました(ニールさんがリジェネさんに恋をしかけてしまったのに関しては、ライルさん、それにリジェネさん自身のフォローや根回しの甲斐もあり、なんとか無事に回避できたようです)。
そんなわけで、腹を割って話せるお友達同士になったニールさんとリジェネさんは、アレやコレをした後にはおんなじベッドに寝転がって、いろんなおはなしをします。



「ニールは恋人とか欲しくないのかい?」

うつ伏せになって、組んだ腕の上へ顎を乗っけているリジェネさんは、そんな風に言いました。
どうやら今日は、そういうおはなしみたいです(リジェネさんは、ライルさんから「兄さんにそれとなく『彼女とか作ったらどうだ』、て言ってくれ」と言い含められているものですから、こんな話題を振ったのでした)。
仰向けになって、組んだ腕に頭を乗っけているニールさんは一頻り唸った後、「欲しくないわけじゃあないが、俺、たぶん、いや、ものすごい面食いだから、ちょっと難しいと思う」と答えます。

「しかも、三次元の最初がリジェネだしな」
「それって、僕が少しアブノーマルだから普通の恋愛とかセックスライフが判らない、て事?」
「ああ違う違う。俺が言いたいのはアレだよ、所謂『越えられない壁』。出だしが良すぎたせいで、ハードルが高い」

やっぱりオタクなニールさんは、持ち出す単語もやっぱりオタクです。
ああそういうこと、と頷いたリジェネさんは、ちょっと笑います。

「でも、ニールには申し訳ないけれど、そういう風に思ってくれてるのは嬉しいかな」

すると、途端にニールさんの顔がちょっと赤くなります(こういう事を言われ慣れていなかった上、にっこりしたリジェネさんが非常にツボだったようです)。
けれども、リジェネさんはそう言いながら、ぐるぐると考えていました。
もしそれがお世辞でなく、本当の事だとしたら、ちょっと問題です。
一体どうしたらニールさんに恋人を作ることができるでしょう。

(乙女系よりは小悪魔系、ツルペタ、肉付きの良い子よりは華奢で細い子、甘えて擦り寄ってくる犬派ではなくて澄ましている猫派、いや、むしろツン9割デレ1割の"ツンツンツンデレ"派…)

リジェネさんは今までにニールさんとしたおはなしの内容や、ニールさんが持っているエロゲやギャルゲの傾向、一番最後に攻略するキャラクター(ニールさんは本命を最後にとっておくタイプでした)の外見や性格の特徴を並べ立てて、考察しています。
そうして、身近に一人、そういう人間がいる事に思い当たりました。
好物件、とは言い難いのですが、ニールさんのような人にとっては、もしかしたらそう言えるかもしれません。
それに、リジェネさんもまた、その人物の事を「なんとかしないとまずい」と切実に思っていました。

(世の中には"一石二鳥"という単語もあるくらいだし、)

そう思ったリジェネさんは、ですから、ねえ、とニールさんを振り返ります。

「ニールは僕の見た目、好きなんだよね?」
「え、ああ、そりゃ、好きだけど」
「じゃあ、気難しい子は好きかい?」
「まあ、嫌いじゃない」
「本当に?ものすごく神経質で、いつも仏頂面していて、周りからどう思われようと我が道を行ってて、時々言語が通じない感じの気難しさなんだけれど」
「筋が一本通ってるってのは良いことなんじゃないか?…一体何の話をしてるんだよ」

眉毛を寄せて、ニールさんは首を傾げます。
リジェネさんは、「此処何ヶ月か話してみて、ニールにだったら任せてもいいかな、と思ったから言うけれど、」と言いました。

「僕の双子の兄弟に会ってみない?」
「双子?」
「そう、双子。僕とは背丈も一緒、顔も一緒。ただし、ものすごく気難しい上に恋愛には全く興味が無い、というより、他人に全く興味が無い。毒舌とは少し違うけれど、『正しいことは正しい』の精神でズバズバ痛いところをついてくるから、慣れない間は精神苦が半端じゃあない。今までに引き合わせた人たちの感想を総括すると、『彼の良い所は顔だけ』。…それでも、会ってくれるかい?」

リジェネさんの顔は、何時に無く真剣です(なにしろ切羽詰っていましたし、情報だけの時点で怖気づくようでは、本人に会った時にズタボロになるのがオチだからです)。
正直言って、あまりと言えばあまりの項目の列挙にニールさんはちょっぴり怯んだのですが、他ならないリジェネさんからの提案ですし、リジェネさんとそっくりだというその双子の兄弟を見てみたいという下心も手伝って、結局「じゃあ、」とお返事をしたのでした。





さて、運命の日です。
ニールさんは、カッチコチに身体を固めていました。
何故って、件のとっても扱いづらいというリジェネさんのお兄さん(彼は名前をティエリアさんといったのですが)に、抱き付かれていたからです。

「まさかこんなところで会えるなんて…ロックオン・ストラトス…!」

そう言ったティエリアさんは、ニールさんのTシャツ(「たまにはデレろよ!」と書いてあるTシャツです)の胸元へ顔を埋め、頬を淡く染めています。
予想外の展開に、ライルさんとリジェネさんは開いた口が塞がりません。
ニールさんは、「あ、」だか「う、」だかと呻くばかりで、顔を真っ赤にしています。


かくして、ニールさんは"運命の人"と出逢い、それと同時に、今迄とは少し違った日々が幕を上げたのでした。

おたにる。 4

2009.3.1   上 au.舞流紆
次回は超展開、みんなが知っていることをあえて言うと、反省はしていない、























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