いつもティエリアさんのトンチキ行動によってドタバタしているディランディ家ですが、今日はなんだかより一層賑やかです。
それもそのはず、ライルさんとリジェネさん、それに、エイミーちゃんが遊びに来ているのでした。



「…ていう感じの出だしなんかいいと思うの。どう?」

図解を交えつつ、長い長い説明を終えたエイミーちゃんに、三人の人間(リジェネさんとニールさんとティエリアさんです)が答えを返しました。

「いいね。ライルがお漏らしするところ、見たいな」
「前スカはロマンだ、て言った兄ちゃんの言葉、覚えててくれたんだな。嬉しいぞ。…ていうか、俺、また受けにされちまうかと思った…!良かった、攻めだった、ただのドSだった…!」
「ドSな貴方も素敵です、ロックオン…!」

三人三様、そんな感じの言葉がしっくりくる返答です。
この四人が何をしているかと言いますと、エイミーちゃんの次の新刊に向けて、アレコレとネタを捏ねくり回しているのでした(どうやら、次の新刊は前スカ有りのおはなしみたいです)。
でも、其処へどうしてライルさんやニールさんのお名前が出てくるのでしょう。
それには、エイミーちゃんの創作スタイルが関係していました。
エイミーちゃんの創作モットーは「等身大の人間を題材に、より上質でより過激なエロスを」です。
彼女はそれを実現するために、身近な人間を登場人物にしてネタを練り、試しにざっくりとネームを切ってみる、という事を一番の近道にしています。
そんなわけですから、今回も登場人物に身近な人間が挙げられ、それに選ばれたのが、ライルさんとニールさんだったのでした(ニールさんはこのところずっと受けキャラにばかり当て嵌められていましたから、今回はライルさんにお漏らしを強要するドSの攻めキャラになれたことがとっても嬉しいみたいです)。

さて、そんな四人の中にいまいち入っていけていない人間が一人います。
言わずと知れた、ライルさんです。
超売れっ子のAV男優として、お姉さんやお兄さん、お嬢ちゃんやお坊ちゃんを斬りに斬っているライルさんは、二次元にはあまり理解が無いものですから、先程から延々と続いている妄想の数々に全く乗ることができません。
ですから、「次の新刊、5冊キープしておいてください」と言うティエリアさん(パソコンを愛し、それに関係する特許を幾つも持っている彼は、エイミーちゃんの徹底した職人魂を純粋に尊敬していて、尚且つ、例のドSキャラのモデルがニールさんなものですから、当然のように貸し出し用や保存用まで買っておくつもりでした)や、それに対して「2冊目以降は割引するわね」というエイミーちゃん、「僕にも一冊とっておいてね」と笑っているリジェネさんや、「なんか自分がモデルになってるかと思うと、恥ずかしいなあ」と頭を掻いているニールさんを、たいそう恨みがましそうな目で見つめています。
そうして、「おい、ちょっと待て…」と地を這うような声で言いました。

「さっきから黙って聞いてりゃ、お前ら…、どう考えても役が逆だろ!?俺がドSで、兄さんがマゾ豚だろうが!」

何かといっては魂の叫びを放つことが恒例になってきている男、ライルさんです。
彼が言ったことはもっともと言えばもっともで、ニールさんはわりと、いいえ、結構重度のMだったりします。
ですが、今回の敵は強敵も強敵、この家で最高の権力を振り翳す女の子が相手でしたから、その叫びは小さな仔犬の威嚇にも満たないものでした。
案の定、エイミーちゃんが、何を莫迦なことを、という風情で笑います。

「ほんッとに何にもわかってないのね、ライルお兄ちゃんは。普段はドSでド変態で自意識過剰なキャラクターを、普段はやり込められてるキャラクターがねちっこく弄って屈服させた挙句、『普段自分がしてることをやられるのはどうだ』とか言って詰りまくるのが萌えなんじゃない。ニールお兄ちゃんみたいな根っからのマゾにお漏らしさせたって、楽しくないわ」

陵辱系エロスの真髄は、全力で抵抗する相手を力と言葉とテクニックで捻じ伏せて、最終的に「イイ」と言わせるところにこそあるのよ。
熱弁をふるうエイミーちゃんは、拳を握ってそう断言します。
その横では、ニールさんとリジェネさんとティエリアさんが三人揃ってうんうんと頷いています(ティエリアさんは、ニールさんが「カラスは蛍光黄緑色をしているんだ」と言えば、「ええ、もちろんそのとおりです」と言ったうえ、世界中のカラスをとっ捕まえて1匹残らず蛍光黄緑色に塗ってしまいそうな具合の思考をしていましたから、もれなくニールさんの真似っこです)。
それを見たライルさんは、妙ちくりんな疎外感を感じるのと同時に、「もういやだ、こんな身内」と思いました。


この数日後、唐突に舞い込んできたお仕事(内容は、「変態教師が女子大生に無理矢理お漏らしさせる」とかいうものです)を、ライルさんがとても微妙な気分で、それでも完璧にこなしたのは、賞賛に値することだと言えるでしょう。

おたにる。番外編
〜渡る世間はSばかり〜


2009.7.28   上 au.舞流紆
ニール君もSですが彼のドS魂は普段は封印されているので誰も気が付いていません、






















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